『M&Nコイル』の特徴
コンクリートで造られた建物や橋梁、トンネルなどの壁・天井・階段などでは、老朽化によってコンクリートが剥がれ落ちることで、周辺にいる人たちに危険が及ぶリスクを常に抱えています。
コンクリートが鉄筋から剥がれる原因はいくつかありますが、コンクリートが鉄筋に付着しているだけで拘束されていないことが特に問題となっており、「鉄筋にコンクリートを拘束できれば、コンクリートの落下事故はほぼ解決できる」と考えて開発した部材が『M&Nコイル』です。
『M&Nコイル』は埋め込み式で、鉄筋にコンクリートを付着・拘束することで、地震の揺れや衝撃、錆などによる剥がれを防いで落下を防止。大きなコンクリート構造物では炭素繊維シート等を貼り付けてコンクリt−へンの剥離・落下を防止する方法もありますが、出隅や端部が多い構造物は埋め込み式によってコンクリートと一体化する『M&Nコイル』のほうが効果的です。
また、『M&Nコイル』は構造部材ではなく仮設資材なので、設計が終わって配筋した後からでも鉄筋にワンタッチで取り付け可能。その効果も大学出の実証実験で確認されています。
『M&Nコイル』を使用することにより、“コンクリートの付着”にとどまらず、“コンクリートの付着・拘束”を実現し、危険なコンクリートの剥離・落下事故を減らすことにつながります。
コイルスプリング状の鋼線がコンクリートを鉄筋に拘束し、基礎に大きな力が加わった時にコンクリートの破壊や剥がれ・剥落、ひび割れなどを防止。埋込み式のコンクリート拘束は世界でもほぼ例がなく、基礎に使えば曲げ剛性(※)は4.34倍となり、耐震性の高い建物・構造物を実現します。
※荷重がかかった時にひび割れが発生するまでの平均初期剛性
亜鉛めっき鋼線の採用により、サビに強く、水素によってもろくなる水素脆性(すいそぜいせい)の心配も解消。接触する主筋にサビを発生させる心配もないため、基礎の主筋や人通口回り、ブロック塀、バルコニー下部の出隅、増築時のコンクリート打ち継ぎ部分から、橋梁やトンネルなどの土木構造物まで、さまざまな箇所に仮設資材として使用可能。設計が完了した後でも取り付けできます。
中心部分には鉄筋に嵌め込む溝が設けられており、施工は配筋後にワンタッチで鉄筋に取り付けるだけ。保管・運搬時の取り扱いも簡単なため、現場での作業効率に優れ、設置箇所を変更する場合も簡単に取り外しできます。
『M&Nコイル』は通常のシングル配筋部分に取り付ける同芯タイプと、2本の鉄筋が重なり合う重ね継手にも取り付けられる偏芯タイプの2種類を用意。偏芯タイプは継手部の周辺コンクリートを拘束できる性能があり、結束線のみで固定する場合に懸念されていた、力がかかった時の鉄筋のズレや、コンクリートが割れた時の接合力低下といった心配を解消しつつ、優れた強度と耐久性を確保しました。